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『AC×AC』新時代へ~おうちアヴァンギャルド~

ブログのようなものを書いてみました。
以下、この渦中に起きたことをつらつら綴り、小さな決意表明をしたまでですが、よろしければ。

大きな大きな手で

渋谷はBunkamuraシアターコクーンにて上演されていた作演出:鄭義信さん「泣くロミオと怒るジュリエット」
2月27日を最後にその公演が日の目を見ることはなかった。そこに僕は出演していました。
3月4日までの東京公演・大阪公演の全公演中止を決定。プロデューサーさんを中心にスタッフキャストが全力でなんとか公演を続行出来る方向に心と身体を保ってきたが、どうすることも出来なかった。

その後に決まっていた映像の撮影もクランクインして数日で撮影ストップ。
衣裳プランナーとして決まっていた公演も中止。オーディションも中止。
ものすごいペースで羽をもがれてしまった。。

それは当然僕だけではなく、アヴァンギャルド×コンプレックスの仲間たちも同じくだ。

こまつ座「きらめく星座」に出演していた髙倉は、その気骨あふれる団体の精神と根強いお客様のニーズに乗っ取りなんとか全国ツアーを続けてきたが、緊急事態宣言が濃厚になるとともに公演中止。

渡辺謙さん主演の新パルコ劇場こけら落とし「ピサロ」に出演中だった中西。公演は中止と再開を繰り返し、「伝説の舞台」と謳われる名作を上演してきたが、ウイルスと目に見えない空気の波に飲み込まれてしまった。

ほかにも仕事を絶たれたメンバー。演劇仲間たち、日本中、世界中の人々が新型コロナウィルスに飲まれてしまった。

こんな言い方は誰かの気持ちを逆撫でしそうだが、僕はこう思ってしまう。

 

バチがあたった。

地球や宇宙やこの世の摂理のようなものが、身の程をわきまえなかった人間の頭を巨大な手でパンと叩いたのではないか、と。

長すぎる充電期間

と、わかったようなことを言っても格好はつかず何も前進しない。
とりあえず、ド暇になってしまった。

月並みだが断捨離に精を出した。

実家が衣装屋である僕の家兼アトリエは個人資材と事務資材が混同してグッチャグチャだ。
普段忙しさにかまけて出来なかった整理に精を出した。
身体は衰えないようにジョギング等最低限の運動は欠かさない。

2・3日経ち、、

1週間経ち、

2・3週間経ち、、、

昨日にいたる。

家はまぁおおかた綺麗になった。
食事も制限して運動してお酒も飲んでないので体調は悪くない。

お金も、この1ヶ月の断捨離で売りさばいた利益が僕の平均月収と並んでしまったという衝撃。。

実はそんなに不自由していない。

なのに心の中にとんでもなく大きな穴が空いている。

表現が、したい。ものづくりが、したい。

普段ガラケーを愛用しアナログを愛し、おまけに天邪鬼な性質をもつ僕はどうもこの期間に先輩や同士たちが果敢に挑んでいる「オンライン系コンテンツ」に魅力を感じることが出来なかった。
分かってる。みんな歯を食いしばって本当にやりたいことを我慢しながら踠いている。分かってるんだけど、、、どうしてもzoomやtwitterを表現の場にすることに何かしらの矛盾を感じていた。あと、そこで良質な表現が出来ないのではないかと、怖かった。

腑抜けの代表

そんな悶々としていた日々の中、仲の良い後輩から電話がきた。

「海史さん、何してます?」

えっと、、海史さんは、何もしてないよ。

なんて答えはちょっと格好つかないので、なんかそれっぽい言葉を並べた気がする。

「俺、◯◯で働いてる知り合いが居るんですけど、そいつが××な感じのコンテンツを探してて、だから俺、海史さんとアヴァンギャルド×コンプレックスの人たちで△△出来ないかなっていま考えてるんすよ!どうすかね!?」

そのあとにその後輩は「ところで行動力が売りの海史さんは、今この世の中をどう楽しむつもりですか??まさか何にもやらないつもりじゃないですよね??」とは、言わなかった。でも僕は言われた気がした。電話はある程度の会話を続けてほどなく切れた。

僕の心の中で後輩と2人でタバコを吸いながら立ち話。。
「じゃ、また!」と後輩は去っていったが、肝心のタバコは火を消さずにココに置いていった。
なんだか安いポエムのようだが、ものすごいそんな感じだった。ちなみに僕は普段タバコを吸わない。。

また、この自粛期間に何度か所属事務所からメールをいただいた。
内容は、<この時期をどう過ごすか>という心構えのようなものだった。社長からは俳優向けの素敵な本まで頂いた。本当に励まされた。
全ての仕事が止まっている言いようもない不安が、”自分には帰る場所がある(俳優として)”という心の支えを得ることで前向きに時間を過ごすことが出来た。心から嬉しかった。

僕も肩書きばかりの代表ではあるが、素敵なチームをもっている。

 

その日の夜、アヴァンギャルド×コンプレックス初のzoom会議が開かれた。

アヴァンギャルドなzoom会

zoom、、すごいじゃない。なにこれ。
そもそもなんでこんなのが無料で出来てるわけ?みんなこんなのやってたの?あー、早く色々やっときゃよかった。ま、そんなことはいいか。

画面越しにみんなが集まる。
それぞれの環境、それぞれの生活を背景に。
風呂上がりで髪の毛が少し濡れた人もいれば、喋ってる間になんかモグモグ食べてる人、メンバーじゃないのにアヴァンギャルドのTシャツ着て参加してくれる人、メンバーの永田涼は職場で休憩中にスマホで参加してくれた。このコロナ禍に永田涼が第一線で働いてるなんて誰が想像しただろうか。仲間として、友達として、誇らしい。

第1回zoom会議の参加メンバーはアヴァンギャルドを支えてくれる仲間たちも含め9人。
話題は何気ない近況報告から始まり、今後の演劇界はじめ各界のあり方に。

そんな中、我らが着火剤のクレイジージャーニー中西良介が某コンテスト案件を持ってきてくれた。
僕をはじめアヴァンギャルドが腰をあげるにはもってこいの企画だった。

それとは別に後輩が提案してくれたプロジェクトもある。

私ごとだが、実家の衣装製作会社は対コロナ服のタイプ0(ゼロ)を完成させた。

時間はある。

この三密を徹底的に禁止された中で”僕らが1番ワクワクできること”は何か??

誰かが作ったものの否定は誰だってできる。

 

今晩、2度目のアヴァンギャルドzoom会議が開催される。

時代は『コロナ後(After COVID-19)』へ。 

あとがき、、

やっと僕も自覚してきたが、この新型コロナウィルスの衝撃は戦後最大だろう。

「戦前」「戦中」「戦後」など歴史や文化を語るうえで大きなターニングポイントがあるが、きっとこれから

『コロナ前』

『コロナ後』

という言葉ができるだろう。きっと良い感じのネーミングで。仮に今はAC(After COVID-19)としてみよう。

今はそんな歴史的な過渡期にあって、今後BC(反対意ね)のような生活は戻ってこないと考える必要がある。

でも、なんとかなる。というか、なんとか生きていくしかない。
多大な犠牲を払いながら人類は次のステージを目指すのだと思う。大げさな表現だけど、そんなスケールのコロナ禍だ。

今後も今までのように、家族を失って泣くこともあれば初恋に破れて泣くこともあるだろう。
人間の根本はあまり変わらない気もする。

そんな中でも、
できるだけ楽しく生きたい。

できるだけ豊かに生きたい。

演劇やエンターテインメントは自然と次なる形に変貌を遂げていくし、その中で生きる僕たちもそれを模索し、たくさん失敗もすると思う。

表現やものづくりが好きでしょうがないからこの仕事をやってきた。そしてこのチームで集まった。

今後もたくましく作品を作り続ける所存です。

AC(After COVID-19)×AC(AVANT-GARDE COMPLEX)てなんかかっちょいい。。

 

でもまずは、なにより健康第一で。

 

2020/4/30   岩男海史

アヴァンギャルド×コンプレックスは、常に仲間を探しています。
この渦中に表現欲が溜まってるがどうにも発散出来ない仲間たちは多いかと思います。
私たちでよければぜひ一緒に創作したいと思ってます。
SNS等、いつでもご連絡待ってます。

 

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