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『呼吸』アヴァンギャルド×コンプレックス初短編映像作品

『呼吸』

アヴァンギャルド×コンプレックス 初の映像作品

創作記録(談:岩男海史)

 

1、はじまりはコロナ暇。

3月。
世界は大きく変わりました。

アヴァンギャルドメンバーも、中西はPARCOプロデュース「ピサロ」、髙倉はこまつ座「きらめく星座」、岩男はシアターコクーン「泣くロミオと怒るジュリエット」と撮影中のドラマ撮影も、、それだけでなくアルバイトや他の収入を成していた仕事、それらが完全ストップしてしまいました。

わたくし岩男のことでいいますと、2週間ほどメルカリで断捨離しつつお金を稼ぐという、なんとも情けない日々を過ごしていました。その時は「断捨離して気持ちいいし前向きな時間の過ごし方だ!」とか言い聞かせていたが、今思えば”腐っていた”と思う。近い感覚の人はたくさんいたのではないでしょうか。

2、着火役はいつもこの男「よしお」。

そんな日々を過ごしていると、”よしお”ことメンバーの中西良介から電話がかかってきた。

「海史、なんかやろうぜ。」
こういうやり取りのたびに「チームっていいな。」と思います。

かなり重い腰をあげ、zoom会議なるものに手を出しました。

良い。。思ってたよりかなり良い!
直で会うのとは比べられないが、家で一人でモゴモゴ動いてるよりよっぽど良い!!
リモートとはいえ仲間たちと近況報告を交わしていると幾分心が楽になりました。

3、ゼロイチ(0→1)の難しさよ。

何つくろう?

今回はおなじみの男優メンバーだけでなく、”スペシャルサンクス”として俳優仲間や、他業種の仲間たちとの共作だったの色んな角度からアイデアが出てきました。しかし、山のようにアイデアの切れ端は出てきますが、いざ形にするとなると2つも3つもそれを煮詰めなくてはなりません。

僕たちアヴァンギャルド×コンプレックスには作家がいません。
これは旗揚げ公演でもぶつかった問題ですが、創作の設計図となる”脚本を作る”というのはそれだけ大変な作業で、作家さんの偉大さを再び痛感しました。

良い案が出ては、ある程度膨らませてシボんんでいく。
自粛期間中にそんなアーでもないコーでもないを繰り返していくうちに、ひとつの光明が現れました。

4、「呼吸」。

「これやりたい。」
言い出しっぺの中西がとある曲を提出してきました。

それは、彼が新国立劇場演劇研修所の1年次の時、おそらく悩みに悩みまくってた頃に自分で作った詞でした。
大学時代の後輩であるアーティストの”道塚なな さん”に曲と歌も付けてもらい、荒削りではありましたがすでに音源として僕たちの手元に届きました。

あれ、、良い。

なんでしょう。
作品の方向性が決まりきらずに頭を回す毎日、そして連日のコロナ報道。
その時の自分たちにとって最も必要なものが「呼吸」だったのかもしれません。

もともと中西はたくさんアイデアを出すタイプなので、今回も「いやいや自作の曲て、中学生か!」てな感じでパスされるアイデアかと思いきや、意外や意外、僕たちの心にスーッと染みていきました。

また、出したアイデアの中には「こうやったら注目されるかな?」とか「他の作品にどうやったら勝てるかな?」なんてことに重きをおいたものもあるのですが、この「呼吸」というのは”僕たちが心の底から必要としているもの”だったのもよかったです。
色気よりも本心を大切に創作に当たれるのは処女作にとって大切なことでした。

よし、これを柱に作ろう。

5、文学座 浅野雅博さん 超リスペクト先輩へのオファー。

柱が決まってからは早かったです。
というのも、ここまでに山ほど案は出してきたので、そこらじゅうにアイデアの切れ端が落ちているのです。
「じゃあ次の会議までに”それぞれの「呼吸」”を持ち込んでプレゼンしよう!」
てな感じで物語の流れは完成しました。

「”青年役”、誰にする?」
これはメンバーの永田涼か、髙倉直人で悩みました。
しかし髙倉が「きらめく星座」出演中のため、坊主ヘアがネックとなり、永田が青年役を努めることに。

「店主役は、俺らじゃむりだよな。。」
ここはかなり悩みました。
「とりあえず、ダメ元で理想をみんなで言っていこう!」

「浅野さん!!!」
即決でした。満場一致。僕たちが何度も舞台上で拝見し、お世話にもなっています大好きな先輩、文学座の浅野雅博さん。

とはいえ”超ダメ元”です。
ここは『岩男(僕)の出番です。
結構緊張しましたが、無謀アタック』が得意技の僕はなんとか浅野さんを口説き落とさせて頂きました!なんて良い先輩なんでしょう浅野さん!!

6、撮影ロケハン出発。カメラマンはお馴染みの名児耶洋さん!

撮影に欠かせぬ準備、ロケハンへ出発。
このロケハンが僕は個人的に大好きです。
ロケハンのお共、永田涼を連れて名児耶さんのオススメ地へ出向きます。カメラマンてなんでこんなロケーションに詳しいの、、?

また、店主が働くお店に使わせていただいたのは中西良介の働く日本酒バル”ねことふじい”さん。理解のある優しいオーナーさんで本当に助かりました。素敵なお店です。是非とも行ってみてください!(ねことふじいTwitter:https://twitter.com/necotofujii)

*長々と文章ばかりですみません。やっとこさロケハン写真をドン!

7、いざ、撮影!

初めての短編映像作品ということもあり、普段の演劇とは全く違う創作。最高に楽しかったです!
涼の演技に色々と文句をいいつつも、名児耶さんのモニターに映る涼を「良いなぁ…」なんて嫉妬しながら見守っていました。
僕たちは映像の経験が浅いので学びも多い撮影でした。
涼が感情に任せて動くと、名児耶さんがアップに捉えていた画角から外れてしまうこともしばしば。
心をしっかり動かして、かつ無駄に動かず。
あとは名児耶さんがカメラで納めてくれると信じて、、、演じた結果があの出来です。いかがでしょうか。僕は個人的に涼の演、好きです。^^

浅野さんの演技に僕が言うことありません、、もうね、めちゃ嬉しかったですし何度も鳥肌たちました。
とにかく丁寧に演じてくださり、現場で僕たちがミスを犯したときも優しく対応してくださいました。

とはいえ、僕はよく気にしてることですが「巻き込む・手を伸ばす」ということは本当に大事だなと再認しました。
浅野さんが現場に参加してくださることで、全体の緊張感がグッと高まりました。
これからの活動において映像処女作に浅野さんが参加してくださったことはとても大きな財産となりました。

撮影風景!

8、演劇に無き神業、編集!

さて数日の深夜早朝の撮影にて映像素材も揃い、残す作業は”編集”のみ。
この編集がめちゃめちゃ楽しかったです!

楽しいかつ、、怖い!!

だってどれだけ俳優が頑張ってもソレを全て動かせてしまうんだから。
どのシーンを使うか、そのシーンの余韻の秒数、音楽をいつ差し込むか。環境音の音をどこまで入れるか、、
当然機材や編集環境が変われば選択肢は数十倍増えることでしょう。

たった10分足らずの作品を作り上げるのに編集に費やした労力はえげつなかったです。

みんなで夜から朝方までリモートで顔付き合わせながら
「あ!ここあと2秒伸ばしましょう!。。。あ!もう0.5秒短く!!」
なんて熱くなったのも良い思い出です。。

 

長くなりましたがこんな感じです。

ここにも書ききれないことや書き忘れたことも多々ありますが、そこは作品を見ていただけますと幸いです。

今回、東京都アーティスト支援企画「アートにエールを!」に参加させていただくことで製作がかないました。
機会を与えてくれた事に感謝いたします!
楽しかった!!!!

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